中小企業のAI導入、何から始めるか——ツール選びの前にやる「業務の因数分解」
AI導入で最初にやるべきはツール選びではなく、業務を「毎回やるか」「利益を生むか」で仕分けること。自社実測で年72万円の削減対象を特定した手順をそのまま公開します。
「AIを導入しよう」と決めたとき、ほとんどの会社が最初にツールを探し始めます。ChatGPTかClaudeか、月額いくらか、どの会社のセミナーに出るか。実は、この順番が失敗の入口です。
先にツールを選ぶと、なぜ失敗するのか
ツールを先に決めると、「そのツールで何ができるか」から発想することになります。すると、自社の業務とツールの機能を結びつける作業が丸ごと残ったまま、契約だけが先に走ります。数ヶ月後に残るのは、誰も開かないアカウントと月額費用です。
私たちは創業30年の自社(社員10名規模)でAI導入を実践してきましたが、最初にやったのはツール選びではなく、業務を紙に書き出すことでした。
業務の因数分解——2つの軸で仕分ける
やり方は単純です。1週間の業務を書き出して、2つの軸で仕分けます。
- 毎回やるか、たまにやるか(頻度)
- 利益を生むか、生まないか(価値)
狙うのは「毎回やるが、利益を生まない」象限です。請求書の転記、議事録の清書、帳票の切り貼り、電話メモの回覧。ここに溜まっている作業が、AIに任せる第一候補になります。
かかっている時間を測る
候補が出たら、それぞれに「1回あたり何分×月に何回」を書き添えます。正確でなくて構いません。ここで初めて、作業がお金に換算できるようになります。
例:帳票の個人別PDF作成が1回90分×月4回=月6時間。時給2,000円換算で月12,000円、年144,000円。
私たちの場合、この計測で年72万円ぶんの「作業」が特定できました。この数字が出て初めて、「では月数千円のAI利用料で削れるか」という投資判断ができます。
最初の1つは「現場が嫌がっている作業」から選ぶ
頻度×時間が最大の作業から着手するのが原則ですが、同率なら現場が「なくしたい」と言っている作業を優先してください。導入がうまくいかない会社の共通点は、現場の負担が増える形でツールを入れたことです。楽になる実感が先にあれば、現場は自分から使い始めます。
ここまでやってから、ツールを選ぶ
削る作業が1つに決まれば、ツール選びは消去法で終わります。文章系の作業ならClaudeやChatGPT、定型の転記ならスプレッドシートの自動化、というように、作業がツールを決めてくれます。
この手順の全体像は、無料公開しているAX導入の教本(全10回)の第3回に詳しく書いています。自社の現在地をまず知りたい方は、12問の無料AI診断からどうぞ。その場で結果が出ます。
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